運動生理学

スポーツとストレッチにおける『3つの関係性』

こんばんは、しましまです

 

今回は昨今話題になっているストレッチと運動パフォーマンスの関係性について見ていきます。

 

 

総論:ストレッチと運動パフォーマンス

ストレッチを行うことによる効果は、「柔軟性の向上」と「関節可動域の拡大」が考えられます。

まずはこれらがそれぞれ運動にどのような影響を与えるのか見ていきましょう。

 

筋肉の柔軟性と運動パフォーマンス

筋肉の柔軟性を高めるということは、筋肉の弾性が低くなるということです。

筋肉の弾性が低くなると、骨への力の伝達効率が低くなり、脳から筋肉への神経信号の送達も弱まるということが分かっており、これは運動パフォーマンスを下げる要因になりうると考えられます。

(ピンと張ったロープに比べ、緩んだロープは力が伝わりにくいというのはイメージできるのではないでしょうか)

 

関節可動域と運動パフォーマンス

ストレッチの効果のもう1つが関節可動域の拡大です。

通常私たちが運動を行うときにおいては、関節可動域内でどれだけのパフォーマンスを発揮できるかが重要になるので、関節可動域を拡大させるということは何となくパフォーマンスの幅も広がるように感じられます。

しかし一般的に、関節可動域が広ければ広いほど良いという運動はあまり多くありません(例外としてフィギュアスケートや新体操などは可動域が重要な要素となりうるでしょう)。

ランニングにおいても、関節可動域を広げてよりストライドを伸ばしたい、より大きな動きができるようにしたいと思うかもしれませんが、私たちがスポーツを行う上で常に考えなければならないのは「パワー」という要素であり、「パワー = 力×速さ」です。

つまりどれだけ大きな動きで大きな力を生み出しても、速さが失われては発揮されるパワーの向上には繋がらず、パフォーマンスの低下まで招いてしまう可能性があるのです。

 

では次に、それぞれのタイミングにおいて、ストレッチがどのような影響を与えるかを見ていきましょう。

 

各論①:ウォーミングアップとストレッチ

ウォーミングアップとして(静的)ストレッチを取り入れている方は多くいるでしょう。

しかし上で見たように、(静的)ストレッチは運動パフォーマンスを下げるということが検証され始め、ついにそれがデータとして明確に表れました。

2008年アメリカ、2010年イタリアで行われた実験において、(静的)ストレッチを行った群と行わなかった群において、各種の運動パフォーマンス、筋出力を調べたところ、どちらにおいても(静的)ストレッチを行った群のほうが低い数値を示しました。

そうすると、ストレッチを運動前に行いたいと考える他の要因としてはケガの予防が考えられますが、一般的なケガによる「痛み」は関節可動域内で起こりうるものであるため、関節可動域を広げることはケガの予防になりえず、むしろ筋の弾性の低下によりケガのリスクが高まる可能性も示唆されています。

 

※ウォーミングアップと動的ストレッチ

上記の通り、静的ストレッチはその後の運動パフォーマンスを低下させる可能性が高いのですが、一方で2006年、2008年のアメリカの研究により、動的ストレッチは短期的にも長期的にも運動パフォーマンスを向上させるということが分かっています。

 

 

各論②:クールダウンとストレッチ

では、運動後のクールダウンにおいてストレッチを行うことはどうでしょうか。

運動後にストレッチを行いたいと考える理由としては、次の練習や試合に向けての疲労の軽減が挙げられます。

これに関しては、運動後のストレッチと筋肉痛(DOMS)との関係性を調べた実験があり(2008年イギリス、2009年オーストラリアなど)、この実験から運動後のストレッチが筋肉痛を軽減させる効果はないことが分かりました。

一方で運動後のマッサージや冷風呂には筋肉痛からの回復を促進させる可能性があることも分かっています。

 

 

各論③:血流とストレッチ

ここまで読むと、ストレッチはしないほうが良いのでは?と思ってしまいそうですが、ストレッチには血行を良くする効果があることも分かっています。

血行が良くなると血液が全身に巡りやすくなる、つまり栄養が行き渡るようになり、疲労からの回復を促進する効果があります。

そのため、ストレッチは一概に「悪」とは言えず、特に運動パフォーマンスなどを考える必要ない一般の方からすればこの血行を良くするという効果は非常に有意義であると言えるでしょう。

 

 

結論:気になる人は時間を短くしてみよう

ここまでストレッチの実態についてお話ししてきましたが、これまで繰り返しストレッチを行ってきた方にとってはストレッチを止めるということはかなり抵抗があるでしょう。

そういう方は、まずは(運動前の)ストレッチの時間を短くすることから始めてみてください。

1種目30秒行っていたのを、20秒、10秒…と減らして、逆に動的ストレッチの時間を増やし、最終的に運動前のストレッチは動的ストレッチのみにすることが理想です。

 

どうしても(静的)ストレッチを行わないと気が済まないという方は、運動が終わるまで我慢することをオススメします。

しかし、上で見た通り、運動後のストレッチもそこまで高い効果を得られるものではありません。

自分の競技力を向上させるために、時にはいつもの「ルーティン」すらも疑いましょう。

 

 

では、今回はここまでです。