ランニングの教科書

【簡単】LT値とは?LT値を向上させるには?【乳酸性作業閾値】

お疲れ様です。しましま(@simasimasport)です。

 

「ランニングの教科書」シリーズとして今回のテーマは『LT値(乳酸性作業閾値)』

2018年8月現在、男子マラソンの世界記録は2時間02分57秒、日本記録は2時間06分11秒ですが、日本記録の2時間6分台というのは海外勢が20年~30年前に達成しているレベルであり、その水準で日本人の記録は止まっている現状です。

その10年ほど前、今から40年前ほどであれば日本人は世界のトップレベルで戦えていたのに、いつの間にかこれだけの差が開いてしまいました。

この海外勢と日本人との競技力の差は「LT値」「ランニングエコノミー」が大きく影響していると言われています。

今回はそのうち、「LT値」がどういったもので、どのようにしたら向上させることができるのかを整理していきましょう。

【ランニングエコノミーについてはこちら↓】

・「ランニングの教科書」-8.ランニングエコノミーってなに?-

 

1.LT値とは?

 

LTとは「Lactate Threshold」の略で、日本語で「乳酸性作業閾値」。

言葉だけ聞くとすごく分かりづらいですが、簡単に言うと「血中乳酸濃度が急激に高まるポイント」です。

乳酸は、糖を使ってエネルギーを生成する過程で生じ、

・運動強度が低い場合(≒酸素が体内に十分供給される、好気的条件下)には、乳酸はエネルギーにもなりうるのですが、

・運動強度が高くなる(≒酸素が不足する、嫌気的条件下)と乳酸処理が追い付かなくなり、乳酸が急激に蓄積されていきます。

【関連記事↓】

・「ランニングの教科書」-5.乳酸が疲労の原因なの?-

 

Point

LT値:血中乳酸濃度が急激に高まるポイント

 

2.AT値、VT値、OBLAとの違いは?

LT値に似た言葉として、「AT値」「VT値」などがあります。

・AT値

:「Anaerobic Threshold」の略で、日本語で「無酸素性作業閾値」。

運動強度が徐々に上がったとき、酸素供給が不足する時点(=有酸素性メインのエネルギー供給から無酸素性メインのエネルギー供給に変わる時点)のことをAT値と言い、LT値にほぼ一致します。

 

・VT値

:「Ventilation Threshold」の略で、日本語で「換気性作業閾値」。

運動強度が徐々に上がったとき、換気量(呼吸量)が急激に上昇するポイントのことで、こちらもLT値にほぼ一致します。

 

また、LT値に近いものとしてOBLA(オブラ)と呼ばれるものもあります。

OBLAとは「Onset of Blood Lactate Accumulation」の略で、血中乳酸濃度が4ミリモルになるときの運動強度のことを言います。

 

VO₂MAXとの関係性は?

このように、LT値と関わりのある値は数多く存在するのですが、その中でもVO₂MAXと併用してよく使われます。

VO₂MAXで見たとき、およそ50~80%のポイントがLT値になると一般的に考えられています。

【関連記事↓】

・「ランニングの教科書」-6.『VO₂MAX(最大酸素摂取量)』とは?

 

Point

・LT値以外にも運動強度を測るものさしはいくつかある

・VO₂MAXの50%~80%がLT値

 

3.LT値を向上させるためには?

LT値がどのようなものか分かったところで、LT値を向上させるためにはどうしたら良いのかを考えていきましょう。

LT値向上を目的としたトレーニングとして一般的なのは「ペース走」

LT値は自分のLT値付近での運動強度でトレーニングを行うことで高まります。

LT値付近での運動強度でのトレーニングのポイントは下記の通り。

・LT値付近でのトレーニング
➡血中乳酸濃度が急激に高まるギリギリのライン
➡乳酸産生と乳酸処理が最大限稼働するため、乳酸処理能力が高まる(=ミトコンドリアの増加、毛細血管の増加など)
➡LT値の向上。

 
そのため、LT値向上を目的としたペース走においてはLT値付近での強度となるようペースを設定する必要があります。

【詳しくはこちらの記事で↓】

・ペース走における3つの効果

Point

LT値を向上させるためには、運動強度がLT値付近になるようなトレーニングを行う必要がある

 

LT値で差をつけよう

練習量は確保しているのに、なかなかタイムが上がらないという方は、LT値をうまく向上させられていない可能性があります。

普段の練習の中身、特にペース走において、いつもこのペースだからという理由でタイム設定を行っていないか改めて見直しましょう。

競技力を向上させるためには、目的に応じた適切な負荷の設定というものが重要です。

 

では、今回はここまでです。

【関連記事↓】

・「ランニングの教科書」-5.乳酸が疲労の原因なの?-

・「ランニングの教科書」-6.『VO₂MAX(最大酸素摂取量)』とは?