運動生理学

【簡単】ランニングエコノミーの計算方法まとめ【3つの数値が必要】

お疲れ様です。しましまです。

今回のテーマは「ランニングエコノミーの計算」

ランニングエコノミー(RE)はランナーにおける「燃費」のこと。

VO₂MAX(最大酸素摂取量)、LT値(乳酸性作業閾値)と並んで中長距離ランナーの三大指標の1つとされていますが、結構ざっくりと認知されているんですよね。

この記事でREを数値化する方法を学んで、「自分はREを高めるべきなのか?他の要素を鍛えるべきなのか?」と練習計画に生かせるようにしましょう。

ランニングエコノミーの計算式


最初に計算方法をざっくりお伝えします。

ランニングエコノミー(RE)=VO₂MAX×LT値÷フルマラソンのレースペース

これでREをおおよそ数値化できます。

ちなみにこの計算式はこの論文から引用。

なぜこれで計算できる?

そもそもREは近年、「ある距離を走るとき、体重1kgあたり何mlの酸素を必要とするか(O₂コスト)」といった要素として定義されるようになっています。

この定義を式で表すと、

RE = ml/kg/m

となります。

例えば、時速80kmは次のように表されることが多いですよね。

80km/h

hは1時間(hour)の意味で、つまり「単位あたり(ここで言う1時間あたり)いくつ」というのを式で表すときは

○/単位

というようになります。

①VO₂MAXと組み合わせる


さらに上の式を応用していくのですが、そのために使うのが「VO₂MAX(最大酸素摂取量)」。

VO₂MAXは「1分間あたり体重1kgあたり何mlの酸素を取り込めるか」という要素でして、式で表すと

ml/kg/min

となります。

この2つの式を使うと、以下のことが計算できます。

VO₂MAX(ml/kg/min)÷RE(ml/kg/m)=ある強度で維持できるスピード(m/min)

計算の解説を入れておきます。

mlをa、kgをb、minをc、mをdとしましょう。

すると、上の計算は

(ml/kg/min)÷(ml/kg/m)

=(a/b/c)÷(a/b/d)

=a×1/b×1/c×1/a×b×d

=d/c

=m/min

というふうになります。

②VO₂MAX、LT値、レースペースを代入


上の計算で、「ある強度で維持できるスピード」が求められるようになりました。

今度はその式と、「VO₂MAX」、「LT値」、「フルマラソンのレースペース」を組み合わせます。

ここでは例としてサブスリーのレースペースを使いましょう。

サブスリーのペースは234.5m/minです。

サブ2.5 = 281.3m/min
サブ3 = 234.5m/min
サブ3.5 = 201m/min
サブ4 = 175.8m/min

VO₂MAX(ml/kg/min)÷RE(ml/kg/m)=ある強度で維持できるスピード(m/min)

→VO₂MAX(ml/kg/min)÷RE(ml/kg/m)=234.5m/min

単純にサブスリーのレースペースを代入するとこうなりますが、このままだとVO₂MAXまで達する強度でフルマラソンを走りきれることになってしまいます。

ランナーの多くは、VO₂MAXの70%前後でのスピードがフルマラソンを走りきれるスピードになりますので、ここでLT値(0.7%VO₂MAX)を組込。

0.7VO₂MAX(ml/kg/min)÷RE(ml/kg/m)=234.5m/min

この式を組み替えると、

RE(ml/kg/m)=0.7VO₂MAX(ml/kg/min)÷234.5m/min

という式ができあがり、VO₂MAX、LT値、フルマラソンのレースペースを使うことでランニングエコノミーを推算することができます。

ちなみにVO₂MAXを60と仮定して上の式を計算すると

RE=0.7VO₂MAX÷234.5m/min
  =0.7×60÷234.5
=0.179ml/kg/m

となります。日本人のRE平均は0.20程度とされているので、この数値だとREが若干低いランナーということになりますね。

VO₂MAX、LT値を知るには

VO₂MAXはスポーツ用の時計で割とサクッと計測することができます。

(ウォッチとセンサーを組み合わせることで計測可能)

もちろん本来は専用の器具を使わないと正確には測れないものですので、ざっくりとした計測にはなりますが、全く分からないよりはよっぽど便利ですね。

LT値は血中乳酸濃度が急激に上昇するポイントを計測する必要があるため、きちんと測るのにはさらに難易度が高め。

これもかなり高性能な時計(器具)を使えば計測してくれるものもあるのですが、以下のように「心拍数」から推算することもできます。

[最大心拍数−安静時心拍数]× 0.75+安静時心拍数

これにより、LT値付近での運動強度での心拍数が分かります。

これで求められた心拍数と、VO₂MAX付近での運動強度での心拍数を比較して、LT値がVO₂MAXの何%程度なのかというように計算してみましょう。
(比較的高めに数値が出る(LT値が高く出る)ので、上記計算式の0.75の部分を0.65くらいに変えるとこんなもんかなという数字になる印象です)

自分を「数値化」しよう


こんな感じで、スポーツにおける多くの要素が数値で出てくるようになっています。

野球なんか特にそうですね。メジャーリーグでは前から色々な指標が出されていて、その流れが日本のプロ野球にも影響しています。

数値で色んなことが分かってしまうというのは、色んなことの予想がついてしまうということなので、スポーツの醍醐味が減ることもあるでしょう。

ただ、数値だけでは測れない(数値に表しにくい)要素があるのも事実です。メンタル面なんかがその1つですね。

目に見える範囲はしっかり管理し、効率よくパフォーマンスを上げましょう。