ランニングの教科書

【まとめ】乳酸とは?乳酸が疲労の原因なの?

お疲れ様です。しましま(@simasimasport)です。

 

「ランニングの教科書」シリーズとして、今回のテーマは『乳酸』

乳酸はスポーツ、特に陸上競技や競輪などの競技に取り組む方々にとって馴染みのある言葉でしょう。

そんな乳酸は一般的に『疲労物質』と考えられることが多く、

・練習で『耐乳酸性』を高める

・トレーニングのあとその場で止まらずに歩いたりジョグを行うことで『乳酸処理能力』を高める

といったことで競技力向上に繋がると信じられています。

一方、最近では『乳酸はエネルギー源となる』という考えも広まってきており、全く正反対の意見が混在する状況。

そこで今回はこれらについてしっかり整理していき、ランナーと関わりの深い乳酸についての理解を深めていきましょう。

 

結論;「乳酸」って?

まずは結論からお話ししましょう。

乳酸は以下のような物質です。

・「ある条件下」ではエネルギー源となり

・「別の条件下」では体内に蓄積され疲労の原因の1つとなりうる

・その他、運動強度の目安にもなる

 

つまり、

・1つの視点から見ると疲労物質と言えますが

・別の角度から見るとエネルギー源と見ることもできる

ということです。

非常に抽象的なので、具体的にどういったことなのか以下で整理していきましょう。

 

乳酸の生成過程

乳酸は、ヒトが活動を行うために必要なエネルギーを生成する過程で生じます。

別の記事で詳しくお話ししていますが、体内でのエネルギー生成過程は大きく以下の3通り。

 

・CP系

・解糖系

・有酸素系

【関連記事↓】
・ランニングの教科書ー3.運動するときのエネルギーってなに?ー

 

上記で挙げた中の1つ、『解糖系』のエネルギー生成過程において、その名の通り糖質が分解される中で「ピルビン酸」という物質が生成されます。

このピルビン酸という物質が、酸素が不足している状況(嫌気的条件下)では「乳酸」に変わるのです。

こうして生まれた乳酸は、酸素が不足しているとどんどん蓄積されていってしまうことから、「乳酸は疲労の原因の1つ」と考えられています。

 

Point

酸素が不足している状況(嫌気的条件下)で乳酸は生じ、蓄積されていく

 

 

乳酸がエネルギーに変わる?

しかし、乳酸が蓄積されていくのはあくまで酸素が不足している場合において。

酸素が十分に供給される状況においては、

・ピルビン酸はミトコンドリア内に取り込まれアセチルCoAという物質となり、

・TCA回路にてATPという物質を生成

という処理が体内で行われます。

このとき生じるATPという物質がADPという物質に分解されるときに、ヒトが活動を行うためのエネルギーが生成されるため、乳酸は酸素が十分に供給される状況(好気的条件下)においてはエネルギー源になると言えるでしょう。

(参考)

 

Point

酸素が十分に供給されれば、乳酸はエネルギー源になる

 

乳酸を蓄積させないためには?

乳酸は「運動強度のものさし?」

運動強度を測る目安の1つとして挙げられるのが、「LT値」(乳酸性作業閾値)。

上述の通り、乳酸は糖がエネルギー源として分解される過程で生じるため、運動強度が高まり糖の分解量が多くなると乳酸も必然的に多く産生されます。

この「血中乳酸濃度」が急激に高まるポイントが「LT値」と呼ばれるポイントであり、このポイントを超えると多くの人がその運動を「きつい」と感じるようになるのです。

「乳酸はエネルギー源になりうる」とは言え、やはりこのように疲労との関係は深く、「疲労度を計測するものさし」として有用と言えるでしょう。

 

乳酸をエネルギーに変える

では、乳酸を使ってうまくエネルギーを生み出していくためにはどうしたらいいのでしょうか。

ポイントは「酸素」

トレーニングにより「酸素を効率よく取り込める」身体を作ることで、乳酸をエネルギー源に変えていくことができます。

酸素を効率よく取り込むためには以下の要素が重要です。

・酸素を取り込む能力
 
・酸素を取り出す能力
 
・酸素を送り出す能力

【詳しくは以下の記事を参考にしてください↓】

・『最大酸素摂取量(VO₂MAX)とは?』

 

 

たくさんの視点を持とう

「ランニングの教科書」の1番最初にお話しした通り、ランニングは「科学の世界」。

Aという考えを持っている人もいれば、Bという考えもあり、そこには一般的に支持される考えが必ずあります。

しかし、大多数に支持されているから「正」というわけではありません。Bという考えに妥当性がある以上、それを排除するわけにはいかないのです。

皆さんも1つの考えだけに囚われず、柔軟な考えを持ちましょう。

 

では、今回はここまでです。

【関連記事↓】

・乳酸性作業閾値(LT値)とは?

・最大酸素摂取量(VO₂MAX)とは?

・ランナーにオススメの本