ランニングの教科書

『VO₂MAX(最大酸素摂取量)』とは?【トレーニングとの関係性】

お疲れ様です。しましま(@simasimasport)です。

 

ランニングの教科書シリーズとして、今回はランナーと切っても切れない関係にある『最大酸素摂取量(VO₂MAX)』についてのお話。

 

一般的に中長距離のタイムには

・最大酸素摂取量(VO₂MAX)

・乳酸性作業閾値(LT値)

・ランニングエコノミー(RE)

の3つが大きな影響を与えています。

特にその中でも『最大酸素摂取量(VO₂MAX)』は中長距離種目に取り組む上での基礎となる要素。

 

ではいったい最大酸素摂取量とはどんなものなのか、そしてどのようにすればその能力を伸ばすことができるのか、以下で整理していきましょう。

 

 

最大酸素摂取量とは

定義

最大酸素摂取量とは文字通り酸素摂取量の最大値。つまり酸素をどれだけ取り込めるか。

一般的には体格差を考慮できるようもっと細かく「1分間で、体重1kgあたりどれだけ酸素を取り込めるか」という定義が使われています。

例えば体重60kgの人と75kgの人がいて、同じ量の酸素を取り込めるとしたとき、前者は全身に十分な量の酸素を取り込めているかもしれませんが、後者はより大きな身体を持っているため酸素が不足している可能性があるでしょう。

このように、絶対的な数値だけではなく、自分にとって必要な量の酸素を取り込めているかが重要なのです。

 

必要性

身体を動かすために必要なエネルギーを生み出す過程は以下の3通り。

・CP系

・解糖系

・有酸素系

【関連記事↓】

・「ランニングの教科書」-3.運動のエネルギーってなに?

 

この中でも、マラソンや中長距離種目のような長時間の運動になると、酸素を使った有酸素性によるエネルギー産生の割合が高まります。

そのため、より多くの酸素を効率的に取り入れられることは中長距離種目のパフォーマンスを高める上で非常に重要であり、事実海外の研究により5000mのタイムと最大酸素摂取量との間には正の相関関係があることが判明しました。

 

Point

・VO₂MAX=「1分間で、体重1kgあたりどれだけ酸素を取り込めるか」

 

最大酸素摂取量を向上させる要因

最大酸素摂取量とは何かということが整理できたところで、次に最大酸素摂取量が向上する要因はどんなものなのかを考えていきたいと思います。

最大酸素摂取量を向上させる要因は主に以下の3つ。

A.心臓の拍出量の増大

B.動静脈酸素較差の拡大

C.呼吸器の換気能力の向上

 

A.心臓の拍出量の増大

拍出量の増大は、簡単に言えば『酸素を送り出す能力』の向上。

拍出量とは一回の拍動で送り出される血液の量のことを言い、トレーニングを行うことで、より効率的に血流を全身に巡らせようと身体が適応反応を起こすため、1回の拍出量が増加します。

酸素は血液とともに全身に運ばれるため、拍出量の増大はより多く酸素を使えることに繋がるのです。

 

B.動静脈酸素較差の拡大

次は『酸素を取り出す能力』のお話

動脈に含まれる酸素量と静脈に含まれる酸素量との差を動静脈酸素較差と言います。

この差は言い換えれば血液からどれだけ酸素を取り出せているかを表しており、この値が大きいほど酸素を効率よく取り出せているということになります。

この値を向上させるのが主に

・ミトコンドリアの増加
 
・ミオグロビンの増加
 
・骨格筋の毛細血管密度の増大

といった要素。

ミトコンドリアは酸素を使ってエネルギーを産生する組織であるため、ミトコンドリアの数が増えればより多くの酸素を無駄にすることなく使うことができます。

ミオグロビンは酸素が不足した場合に対応できるように酸素を蓄える働きおよび、ヘモグロビンに結びついた酸素を毛細血管内で受け取り、その後ミトコンドリアに受け渡すという役割を持っており、どれも酸素の利用には欠かせない要素です。

 

C.呼吸器の換気能力の向上

酸素が血液内へ、二酸化炭素は外気へという一連の流れを「換気」と言い、換気能力は『酸素を取り込む能力』と言い換えることができるでしょう。

この換気能力は呼吸筋の強化による肺活量の増大、体内における気体の拡散能力の向上などにより高めることができ、これらも持久トレーニングを行うことによる適応反応によって起こります。

 

Point

最大酸素摂取量を向上させる要因

・酸素を送り出す能力
・酸尾を取り出す能力
・酸素を取り込む能力

 

最大酸素摂取量を向上させるためには

では最大酸素摂取量を向上させるためにどのようなトレーニングが必要になるのか。

最もオーソドックスなのはインターバルトレーニングです。

インターバルトレーニングは急走期と緩走期を繰り返すトレーニングですが、

・換気活動を最大限まで活発化させることができる
 
・緩走期の短い時間で効率よく全身にエネルギーを供給する必要がある
 
・速筋繊維を持久力に長けた繊維に変える(スピード持久力の向上)

など、最大酸素摂取量向上にとって重要な要素を大きく刺激する特性を持っています。

また、緩走期を挟むことで目標とするレースと同じ距離をレースペースかそれ以上の非常に高い強度で走ることができ、マラソンや中長距離種目に取り組む方にとっては欠かせないトレーニングメニューと言えるでしょう。

【関連記事↓】

・「スピード持久力」とは?

 

 

知識と効率性を高めよう

今回はランナーにとって重要な要素である最大酸素摂取量についてお話ししてきました。

上で見てきたように、酸素を効率よく使えるということは運動パフォーマンスに大きな影響を与えます。

トレーニングを行うとなぜ運動パフォーマンスが上がるのか、どのようなトレーニングを行うとどのような効果を得られるのかを知って、さらなる競技力の向上を目指しましょう。

 

 

では、今回はここまでです。

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